私たちの身体は、高糖質の食事を摂ると急激に上昇した血糖値により、脂肪を蓄積する仕組みになります。従って、食事選びで注意すべきは脂肪ではなく糖質です。ただし、この糖質制限が血糖のコントロールや体重減少に対して有益である一方で、不妊症に対してどのような効果があるのかは未だ不明でした。

不妊症と関連する重要な要素の一つが「糖化」です。簡単に言うと、これは体内で糖とタンパク質が結合してできる焦げのようなものです。糖とタンパク質が結びつくことで、タンパク質は変性し、AGE（終末糖化物質）と呼ばれる有害な物質に変化します。AGEは強い毒性を有し、蓄積すると老化の原因となります。AGEは全身に広がり、妊娠に欠かせない卵子にも影響を及ぼします。AGEが蓄積していると、卵胞の発育や受精卵の成長が劣化することが分かっています。通常、加齢に伴い卵子の数は減少しますが、AGEが蓄積していると採卵可能な卵子の数も減ります。これが妊娠率に大きな影響を与えます。

血糖値の急上昇を防いでAGEの吸収を防止することがポイントです。そこでおススメなのが「高タンパク質、低糖質」な食事です。

１．低GI食品の選択

グリセミック・インデックス（GI）が低い食品を重点的に摂取します。これには野菜（特に緑黄色野菜）、全粒穀物、レギュラータイプの豆腐、リーフグリーン、ナッツなどが含まれます。これらの食品は血糖値の急激な上昇を抑え、AGEの生成を抑制します。

２．糖質の制限

加工食品や砂糖の摂取を極力減らし、代わりに天然の果物から摂るように心がけます。果物の中でも糖分が比較的少ないものを選ぶことが良いでしょう。

３．抗酸化物質の摂取

ビタミンC、ビタミンE、セレンなどの抗酸化物質を含む食品を摂取します。これにはシトラスフルーツ、アボカド、ナッツ、青魚、レッドオレンジ色の野菜や果物などが含まれます。

４．良質なタンパク質の選択

魚、鶏肉、豆腐、卵などの良質な蛋白質を摂ることで、必要な栄養素を効果的に摂取し、体内の修復や機能維持に寄与します。

５．適度な脂質の摂取

オメガ3脂肪酸が含まれる魚、アボカド、ナッツなどの食品から適度な脂質を摂ることが大切です。これは細胞膜の構築やホルモンの合成に寄与し、卵子の健康にも関係しています。

６．食物繊維の摂取

野菜、果物、全粒穀物などの食物繊維は腸内環境を整え、血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。