年齢を重ねるにつれて、妊娠に関するさまざまなリスクが増えると言われていますが、特に体外受精（IVF）では年齢による影響が大きく表れます。年齢ごとの流産率とその対策を知ることで、不安を少しでも減らし、安心して妊活に取り組むことができます。この記事では、IVFにおける年齢別の流産リスクと、流産を防ぐための具体的な対策について詳しく解説します。

25～29歳の女性では、IVFによる妊娠率は約45%以上、流産率は約15～20%と、安定して高い成功率を誇ります。この年齢層では、卵子の質も比較的良好で、妊娠が成立しやすい状態です。将来の妊娠を考えるのであれば、早めのアクションが高い成功率につながると言えるでしょう。

３０～３４歳になると妊娠率は４０％に低下し流産率も２０～２５％に上昇します。２０歳代に比べて卵子の質が少しずつ低下しはじめるため、この年代では適切なサポートを受けながら妊活に取り組むと良いでしょう。特に、栄養や生活習慣の見直し、適度な運動を取り入れて体を整えることで、妊娠のしやすい環境を作ることが重要です。

35～39歳のIVF妊娠率は約30%、流産率は約25～30%に増加します。この年齢層では、卵子の質の低下が進み、流産のリスクも高まるため、妊娠に対するリスク軽減のための具体的な対策が必要です。食事や運動だけでなく、医療的なサポートも含めて、全体的な体調管理が欠かせません。

40歳以上になると、IVFによる妊娠率は約20～30%、流産率は30～45%に上昇します。この年代では、染色体異常を検査するPGT-A検査やホルモン状態の最適化がリスク軽減に役立つ可能性があります。また、妊娠前から生活習慣の改善を意識し、食事や睡眠、運動など体を整えることも大切です。

流産の大きな原因として、胎児の染色体異常があります。染色体の異常は自然発生的に起こるもので、特に高齢になるとリスクが高まります。染色体異常のリスクを軽減するために、以下の対策が有効です。

●対策

• PGT-A検査：染色体異常のない胚を選ぶための検査で、特に高齢の方に有効です。PGT-A検査によって流産率の低下が期待できるため、医師と相談し検討する価値があります。
• ホルモン管理：ホルモンバランスを整えることで、胚の成長や着床に適した状態を作り出します。ホルモン補充療法（HRT）など、個々のニーズに合わせたサポートを受けましょう。

PGT-A検査は、胚の染色体異常を事前にチェックする検査です。胚培養の過程で細胞の一部を採取し、染色体数を確認することで、流産リスクのある異常を避けた胚を移植できます。

●対策：

• 胚の選択と移植タイミング：染色体に異常がないことが確認された胚を選び、最適なタイミングで移植することで流産リスクが軽減されます。
• PGT-A検査の流れ：胚培養中に一部の細胞を取り出し、染色体数を調べることで流産リスクを減らせます。医師と相談し、条件や詳細な流れを確認すると安心です。

子宮内の菌バランスは、妊娠率や流産率に影響を与えるとされています。特に、善玉菌であるラクトバチルス菌の割合が多いと流産リスクが下がることが報告されています。健康な子宮内フローラを保つための対策を行うことも、妊娠成功のためのサポートとなります。

●対策：

• 子宮内フローラ検査：検査を行い、フローラの状態を確認することで、必要な対策を講じられます。
• フローラの調整：異常が見つかった場合、プロバイオティクスの投与や抗菌治療でフローラを整え、胚の着床と妊娠の維持をサポートします。

妊娠を維持するためには、健康的な生活習慣が欠かせません。バランスの取れた食生活や適度な運動、禁煙・禁酒などが、体の健康と妊娠維持をサポートします。流産リスクを下げるための生活習慣を意識して取り入れてみましょう。

●対策：

• 食生活：鉄分、葉酸、ビタミンD、たんぱく質などを十分に摂取しましょう。特にホルモン生成や子宮内膜の健康に良い食品を積極的に取り入れることが重要です。
• 運動：ヨガやウォーキングなどの適度な運動で血流を改善し、ストレス軽減効果を得られます。
• 禁煙・禁酒：タバコやアルコールは血流に悪影響を与え、妊娠維持を妨げるリスクがあるため、妊娠前から禁煙・禁酒を心がけましょう。

妊娠や流産に対する不安は、医師と相談しながら進めることで少しずつ軽減できます。年齢や健康状態に合わせた治療計画を立てることで、妊娠維持の可能性が高まります。また、メンタルサポートも受けながら前向きに妊活に取り組むことが大切です。

●対策：

• 治療計画のカスタマイズ：自分に合った治療方法を見つけるため、医師としっかりと話し合いましょう。年齢や体調に応じたプランを作ることで、妊娠維持の可能性が高まります。
• メンタルサポート：流産リスクへの不安はメンタル面にも影響します。医師やカウンセラーと定期的に話すことで安心感を得られ、妊活のストレスを軽減できます。

年齢と共に妊娠率や流産リスクは変わりますが、染色体検査やホルモン管理、子宮内フローラの調整、健康的な生活習慣などでリスクを軽減できる可能性があります。医師との相談を大切にし、自分に合った対策を取りながら、前向きに妊活に取り組んでいきましょう。